40、50代といった中高年向けの求人は、20、30代に比べて少ない傾向です。求人の募集要項を見ると年齢不問、あるいは60代までといった募集も出ていますが、求人を出している企業からすると若い人材が欲しいというのが本音のようです。中高年は、知識と経験があり、若い人材は社会人としての経験も浅く知識もそれほどありません。しかし、若い人材は対応力、吸収力があります。いくら中高年が社会人として経験豊富だからといっても、転職して新しい職場に行けば新たに覚えることがたくさんあります。そして、職場の人間関係も新たに構築しなければいけません。若い人材に比べて新しいことを吸収する能力が衰えつつある中高年よりも、心身ともに健やかで吸収力、対応力がある若い人材を企業は欲しがるのです。
なぜ企業側は中高年を積極的に採用したがらないのに、求人で中高年も応募範囲に入れているのかというと、法律上で求人の年齢制限は禁じられているからです。雇用対策法という法律では、労働者の募集、採用時において年齢制限をもうけることは原則的に禁止されています。そのため、雇用対策法違反にならないように、表面上は求人で年齢不問の形をとり、実際は面接や書類選考の段階で、中高年は不採用というやり方を行っている企業が少なくないようです。よって、年齢不問の求人のところにかたっぱしから面接を申し込み、どれか1つは採用されるだろうという考えは、非効率なやり方と言えるでしょう。
特別なスキルや広い場面で評価されるような能力がない限り、今と同様、あるいはキャリアップで今以上の年収を期待しての転職は難しいというのが、中高年の転職の現状となっています。その現状を理解した上で、自分に出来ることや適性を分析して狙いを定めて転職活動をすることがポイントになってくるでしょう。